何故日本では除夜の鐘は108回?
1.煩悩説
寺といえば仏教、では、108この数字は仏教の中ではなにか特別な意味ありますか。実は、108回の由来はいくつの説がありますが、一番有名なのは、煩悩説です。
仏教では、人は三世があります。すなわち、前世・今世・来世です。一世では36類の煩悩があり、其々は眼・耳・鼻・舌・身・意の好・悪・平から生じたもの。そして三世の煩悩合わせて108類の煩悩となります。
これらの煩悩を除夜で鐘の音で全部祓うとのことで、除夜の鐘を108回撞きます。2.四苦八苦を払うため
四苦八苦もまた仏教の言葉です。仏教では、生・老・病・死を四つの苦しみと見なし、四苦と呼びます。そして、思うようにならないことをまた四つに分類し、其々は、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦と五蘊盛苦です。これらを四苦に合わせて八苦と呼びます。
それに、苦の発音はく、九の発音と似ているので、四苦八苦は、4×9+8×9=108のことで、108回で鐘を撞くのは四苦八苦を払うためとも言われています。3.一年を表します
また、煩悩や四苦八苦などの宗教的な意味ではなく、伝統的には、108回の鐘の音は、一年間を表すという説もあります。一年は十二月があり、二十四節気があり、七十二候があります。
ちなみに、二十四節気は、一年を気候によって24等分して名前を付けたのです。最初は古代の中国伝わってきたもので、日本の気候と合わない時期もあります。そのため、彼岸、八十八夜などの「雑節」を加えて日本の旧暦になりました。
七十二候は、二十四節季をさらに三つ分けしたものです。
月の数は12,二十四日節気の数は24,これらを数72の七十二候と加算すれば、108となります。これで一年間を表すことができるので、鐘を108回撞きます。
このように、除夜の鐘が108回撞かれるのは、宗教的な意味だけでなく、古来より伝わってきたものも意味します。宗教的なものと伝統的なものは互いに吸収しつつ、現代日本の特有の文化として世界に知られています。